2013年5月11日土曜日

ペンギン生態研究の最前線

先日、極地研究所で開かれたサイエンスカフェ「ペンギン生態研究の最前線」に
行ってきました。

サイエンスカフェではなく、講演会であったのは残念でしたが、
面白い話がいくつも聞けて楽しい時間でした。



○ペンギンは海氷があると暮らしやすい!?

南極周辺に多く生息しているアデリーペンギンのエサは、
小魚や南極オキアミというプランクトンです。

このオキアミは海に浮かんだ氷(海氷)の底に繁殖する藻類を
エサとしているため、ペンギンにとっては、この海氷が多いほど
エサが多いということになります。

実際に南極の一部のエリア(南極半島)では海氷の量とペンギンの数には
関係があり、地球温暖化による海氷の減少に従ってペンギンの数が
減ってきていることが分かっているようです。




しかし、そう単純に話が終わらないのが科学の面白いところ。
日本の昭和基地周辺ではこの関係が成り立たないのだとか。

昭和基地周辺でのペンギンの数は近年上昇傾向にあるようです。
これは昭和基地周辺の氷の厚さと逆相関の関係になっています。
(氷が薄いほど、ペンギンが多く生まれる。)

昭和基地周辺は南極の中でも海氷が分厚く、ペンギンが暮らすには
大変な場所です。
氷が厚いと、繁殖場所から海までの距離が長くなり、エサを採りに行くのが
大変になって、子育てをあきらめてしまう親が多いからでしょうか。





○バイロギング
ここ数年、ペンギンの羽に加速度計やデータロガーを付けて、
本当のペンギンの生態を調べようという研究が行われているそうです。

実際に使われている装置はこちら。
小さいものでは単三乾電池ぐらいの大きさのものもあります。


これらの装置をペンギンに背負ってもらうことで、ペンギンの行動が
詳しく分かってきました。

ペンギンの潜水には、エサがとれる/とれないという当たり外れがあるそうです。
ハズレの潜水が多いと子育てを諦める親が多くなるということも分かったそうです。



いつも、動物園で人気者のペンギンですが、日本の研究者の力で詳しい生態が分かってきているようです。

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